ドローンといえば空を飛ぶものを思い起こす方が大半だと思いますが、実は水中で使用可能なドローンもあります。
水中ドローンとは、潜水して水の中を航行することが可能なドローンで、ほとんどの場合、人が乗るのではなく、遠隔で操作します。主な使用目的は、海底の地形調査、写真撮影や動画撮影などですが、人の入りにくい場所を調査する能力に優れているため、特に水中洞窟などの複雑な地形を調査する際に重宝します。
これまでドローンというと、ヘリコプターのように飛行、上昇、下降、ホバリングするものが知られていて、趣味から各種調査、海難救助など、幅広い用途に使用されてきましたが、この水中ドローンは、空中を飛び回るのではなく、その名のとおり水中を泳ぎ回るために開発されました。とはいえ、水中ドローンの場合は、普通のドローンのように、完全に人の手を離れて泳ぎ回ることはできません。有線リードが付属しているので、この有線リードの長さの範囲内で水中を潜航することが可能です。
実はこの水中ドローン、空を飛ぶドローンのあとに生まれたというわけではなく、以前から存在していました。ROV(Remote Operated Vehicle)という名前で呼ばれていましたが、用途がドローンとかなり似ていることから、いつしか水中ドローンと呼ばれるようになったのです。
水中ドローンの特徴
水中ドローンの特徴を、ドローンと比較しつつ説明していきます。働くフィールドが違いますので、同じドローンとはいえ、さまざまな面で違いがあります。
水中ドローンの形
水中ドローンは、一般的には平らな箱のような形状をしています。これは空を飛ぶドローンと大きく違う点です。また、水中ドローンには有線のリードが付属していますが、空を飛ぶドローンの場合は無線です。当たり前のことですが、水中ドローンの場合は水中を、ドローンの場合は空中を移動するために最適な形をしています。
水中ドローンの操作
最近の水中ドローンは、ドローンと同じようにスマートフォンをリンクさせて、その画面を見ながらコントロールできるようになっています。そのため、ドローンの操縦に慣れている方であれば、水中ドローンの操縦も違和感なく行えると思います。ただ、水中ドローンの中には水平方向への移動ができないものもありますので、そういったタイプの操縦では少しとまどうかもしれません。また、水中ドローンは有線リードを通じた操縦となるので、ドローンよりもレスポンスはよくありません。有線リードは巻き取り式で、ドローンの動きや潜行深度などに合わせて、その長さをコントロールする必要があります。そのため、水中ドローンを操縦する人のほかに、できれば有線リードをコントロールする人を配置すると安全で安定した航行ができるでしょう。
水中ドローンの用途
水中ドローンも、ドローン同様、さまざまな用途で使うことが可能です。趣味の領域では、釣りでの使用が考えられます。魚群探知機代わりに潜行させて魚群を見つける、また、集魚灯代わりに潜行させて魚を集めるという使い方もできます。ドローンの中には、空中から魚群を探して仕掛けを投下する機能まで備えた機種がありますが、水中ドローンもかなり釣りに役立ちそうです。
ビジネスの領域では、護岸工事やプラント建設などの際に水中の地形や状態の確認、漁業、水難救助の支援、水中撮影などに利用されています。水中ドローンは、今後もその性能がアップするにつれ、さらなる分野でも利用されるようになることでしょう。
水中ドローンは、ドローンと同じように、今後はビジネスにおける利用の広がりが期待されています。将来、ドローンや水中ドローンの操縦士の不足が懸念されていますので、今、ドローンの資格を取得することは、将来への投資となることは間違いありません。
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